調停離婚の成立後の手続きについて

1 離婚届について

離婚をするには、市役所等に離婚の届出をする必要がありますが、調停離婚の場合でも、離婚の届出自体は必要です。

この場合は、調停の成立後10日以内に調停調書謄本を添付して離婚の届出をする必要があります。

 

離婚の届出をするのは、基本的には調停を申し立てた人ですが、調停の申立人が10日以内に届出をしない場合には、調停の相手方も届出をすることができます。

 

また、調停調書に「申立人と相手方は、本日、相手方の申し出により、調停離婚をする。」と記載されている場合は、調停の相手方が届出をすることになります。

このような文言を入れるのは、たとえば、夫の氏を称していた妻が夫から離婚調停の申立てをされて離婚調停する場合に、婚姻中の氏を称すること(「婚氏続称」といいます。)を希望するときは、妻がその旨の届出を離婚の届出と併せてすることができるようにするためです。

 

なお、調停離婚の場合は、離婚届には提出する人の署名押印等をすれば足り、他方の署名押印は必要ありませんし、証人も必要ありません。

離婚の届出先は、市役所等になりますが、本籍地以外の市役所に届出をする場合は、添付書類として戸籍謄本が必要になります。

 

2 離婚後の氏について

離婚した場合、婚姻した際に氏を変更した夫又は妻は婚姻前の氏に戻るのが原則ですが、婚姻中の氏を称すること(婚氏続称)を希望する場合は、離婚の日から3か月以内に届出をすることによって、婚姻中の氏を称することができます。

この届出先も上記と同じです。

 

3 子の戸籍・氏について

離婚することによって、相手方の戸籍に入っていた方は婚姻前の戸籍に戻るか、新しい戸籍に移ることになりますが、子については、親権者がどちらになるかにかかわらず、離婚前の戸籍に残ることになります。

 

子の戸籍を親権者の戸籍に移すことを希望する場合は、子が15歳未満のときは親権者が、子が15歳のときは子が、家庭裁判所に子の氏の変更許可の審判を申し立て、その許可の審判書の謄本を添えて市役所等に子の入籍届をすることが必要になります。

なお、親権者が離婚後も婚姻中の氏を称している場合(婚氏続称)であっても、これらの手続が必要になります。

 

4 財産分与について

離婚調停において、財産分与について協議をしなかった場合、協議をしたものの協議が調わなかった場合は、離婚後も相手方に対して財産分与の請求をすることができます。

 

ただし、財産分与の請求をすることができるのは離婚のときから2年以内に限られていますし、調停調書に財産分与を請求しないと記載されているときは請求することができませんので、注意する必要があります。

 

5 養育費について

離婚調停において、養育費について協議をしなかった場合、協議をしたものの協議が調わなかった場合は、離婚後も相手方に対して養育費の請求をすることができます。

 

当事者間で養育費を請求しないという合意が成立していたとしても、親が子の扶養請求権を放棄することはできないため、相手方の扶養義務は消滅しておらず、合意の際に前提とされていた事情が変更した場合は、子が扶養料の請求をすることができる場合があります。

 

また、調停調書において養育費の額が決められていたとしても、子の利益のために必要があると認められる場合には、養育費の増額が認められることがありますし、親の職業の変更や収入の増減などの事情の変更が生じた場合には、養育費の増額または減額が認められることもあります。

 

養育費の増額又は減額について当事者間で話がまとまらない場合は、調停を申し立てるなどの手続をとるか検討することになります。

 

6 年金分割について

離婚調停において、年金分割について定められなかった場合は、離婚した日から2年以内であれば、年金分割の請求をすることができます。

 

また、離婚調停で年金分割が認められた場合でも、離婚した日から2年以内に、年金事務所に年金分割の請求をする必要がありますので、注意する必要があります。

 

7 まとめ

調停離婚が成立した場合であっても、その後いろいろな手続が必要になり、何かと専門的な判断が必要になる場合も少なくありません。お困りになられましたら、弁護士にご相談ください。

 

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